可動域を広げよ[齋藤孝著]の読書感想文

可動域を広げよ[齋藤孝著]を読んでの、読書感想文です。

今回は、読書ノートは書いていません。

ハンモックで読みながらスケッチブックにメモしたものをもとに、文章で記録しておきます。

はじめに

「mimi(私のこと)って、何やっても疲れたって言うよね。」

よく旦那さんから言われる言葉です。

分かっているんです。

私は頭が固めで、すぐに自分を見限ってしまうことを。

だからこそ、色々な人と話をしたり、読書をしたり、ブログやSNSで発信したりして、自分の視野を広げる努力をしています。

そして、その努力に対しても疲れてしまう私。

どうしようもないなと思いながらの、夏休み前半でした。

そんなある日、子供たちと図書館へ行ってパッと目に入ったのが、「可動域を広げよ[齋藤孝著]」です。

題名だけを見て、今の私にぴったりの本だ!とすぐに判断し、試し読みもせずに借りました。

この本を読む目的

読む前に、3つの目的を決めました。

1つ目は、「可動域を広げる」という概念を理解し、それを自分なりに咀嚼して取り入れることです。

2つ目は、実際に自分の可動域を広げる行動を考え、実行するこです。

3つ目は、最近色々と考えすぎて縮こまりがちな長女(11歳)にも可動域の概念を伝え、変化を起こしてあげることです。

あらすじ

本編は、「可動域」と言うキーワードを、「ストレッチ」を例にとって説明するところから始まっています。

齋藤孝先生は、ストレッチの定義を「限界を見ながら、ちょっとずつ自分を超えていくことを繰り返す」と、2019年のイチロー選手の引退会見での言葉を用いて説明しています。

身体を例に取ると、とてもわかりやすい概念です。

可動域も、基本的にはこのように少しずつ広げていくイメージなんだと、腑に落ちました。

そして、思考や学び方へと話を広げ、最後には自己実現のために必要な哲学や本、精神論にも言及しています。

要所要所で出てくる、歴史上の偉人たちの名言や本の紹介も、大変参考になりました。

印象に残ったこと

終章の「常識を砕け」で紹介されていた2人の実例には、地球の一員として、一人の親として、身が引き締まる思いがしました。

一人目は、昭和時代を代表する教育者、斎藤喜博さんです。

子供達に「概念砕き」&「揺さぶり」を与えると、子供たちは「もっと知りたい!」と知的好奇心を高めるという、当時としては先進的な教育方法を実践した方です。

平成になり、令和になった今でも、古さを感じさせません。

むしろ、この社会の大人たち(私も含め)が、子供達に与える環境に、この「概念砕き」や「揺さぶり」が少なくなってきているのではないかと危惧しています。

ネット環境がある今、googleで調べればすぐに答えが出てくるし、子供たちはゲームの刺激に慣れています。

そんな中、「深く物事を考えよう!」と提案しても、「めんどくさい」「どうして簡単な方法で答えを出さないの?」と無気力にも近い反応を示す子も少なくありません。

年齢が上がるほど、その傾向は強くなります。

もちろん、全ての子供がそうではないのですが、すぐに答えを知りたがる傾向は、うちの子供達にもあります。

可動域が狭くて古い概念にしがみついている大人ばかりが周りにいると、子供達の可能性をさらに狭めてしまいます。

ハッとさせられると同時に、責任の重さを痛感しました。


二人目は、建築家であり、京都大学教授の平田晃久さんです。

建築の世界に「からまりしろ」を提唱した方です。

「からまりしろ」とは、「絡まる」と、「のりしろ」の「しろ」という意味を合体させた造語です。

建物を単体として扱うのではなく、人の動線、生態系、自然環境、社会的な関係性をひっくるめて1つの生き物として捉える概念です。

「木を見て森を見ず」ということわざがあります。

平田教授の考えは、森を見てから木を植える場所を考えるような、視野の広いものです。

「建物は生きている」という常識を砕く表現は、共生や相互性という観点から見ると、実は理にかなっているのかもしれません。

モノも、人や自然と一緒で生きている。

自分の家の中を見渡すと、昔からあるモノは自分の記憶と一緒に、絡み合って時を刻んでいます。

冷蔵庫、勉強机、教科書、その全てが自分の人生の一部です。

それらがある部屋も、自分と一緒に時を刻んで生きている。

森の中にあるうちのマンションは、森が消えてしまうと素っ裸になったように感じることでしょう。

森とマンションが、一体化しているのです。

モノと人、人と人、自然とモノ、どの関係性も現在進行形で、共に絡み合って記憶に残ります。

昔のCDを聞いて、当時の思い出が脳裏に蘇るのも、記憶と音楽が絡み合っていたから。

そう考えると、この世の中にある自然、モノ、出来事は全て必然だと言えます。

「からまりしろ」は建築界での言葉ですが、自分という存在を新しい視点で見るキッカケになりました。


※「からまりしろ」については、こちらのWebサイトで詳しく解説されています↓

生きている建築ー京都大学工学広報


読後の行動指針

今回の本を通して、思考の可動域が広がっていくのが、手に取るようにわかりました。

「限界を見ながら、ちょっとずつ自分を超えていくことを繰り返す」

読書もそうだなと、感じました。

自分にとって少し難しいかなと思う本に挑戦して、自分のレベルを上げていくのも、可動域を広げることになるからです。


齋藤孝先生は、人生は「偶然の出会い」を「必然の出会い」に変えていくプロセスの繰り返しだと言っています。

「可動域を広げよ」と私の出会いは、始めは偶然でした。

それが、次のように変化しました。

  1. 「可動域」という新しい概念に触れ、それぞれの場面で出てくる偉人たちの情熱に感銘を受ける。
  2. この感情を忘れたくないから、文字でアウトプットする。
  3. 記憶に定着し、ほんの少しだけ勇気を出して、行動を変えてみる。

本を読んで考え方の変容があり、自分の行動を変えた時点で、その本との出会いは必然だったと言えます。


宇宙から見ると、私はホコリにも満たない微生物単位の生き物です。

人生も、驚くほど短い。

実は卑屈になっている暇なんてないのでは?

「何をやっても疲れる私」は、やらないといけないことを勝手に量産しているだけで、この広い世界で半径2mのことしか見えていませんでした。

私が楽しそうに「やりたいこと」をやっていると、その周りにいる人も笑顔になるはず。

「からまりしろ」の概念を知り、自分の見方や考え方が変わりました。

次は、それを行動につなげる段階です。

いきなり変えるのではなく、ストレッチのように自分の限界を見ながら少しずつ、「可動域」を広げていきたいです。

そして、私自身が常識を砕いた考えができるようになると、長女の概念もどんどん砕けて揺さぶられ、新しい世界を見れるようになると信じて。

あとがき

今回は、日テレ「スッキリ」で紹介された読書感想文の書き方を、大人用にアレンジした方法で書いてみました。

  1. 読む前の自分の考え
  2. 本を選んだ理由・目的
  3. あらすじ
  4. 印象に残った箇所&その理由
  5. これからどのように行動を変えるかの決意

原稿用紙ではないので、文章構成はブログのままです。

正直言って、読書ノートよりも、読書感想文の方が難しかったです。

最後に読書感想文を書いてから、もう20年以上。当時も苦手だったけれど、今もまだ苦手意識が拭えません。

額から汗が出るほど脳みそがフル回転し、終わった後にはいつもと違う達成感が得られました。

新しいことに取り組むのは脳に刺激的で良いなと思った、夏の1日でした。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
今日も、良い1日を〜♪