答えの出ない事態に耐える力:ネガティブ・ケイパビリティ

答えの出ない事態に耐える力:ネガティブ・ケイパビリティ[帚木蓬生著]を読んでの、感想&内容まとめです。

あらすじ&感想

精神科医で小説家でもある帚木蓬生さんが、「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念を主軸に、深い理解と高次元での解釈を得るための道筋を示した本です。

斎藤孝先生の本と同様に、小説や古典のあらすじや解説も入っていて、まるで物語を読んでいるかのように楽しめました。

私にはあまり馴染みのない人たち(詩人のキーツ、シェイクスピアなど)の、生い立ちを臆することなく読めたのは、分かりやすい文章のおかげです。

コロナ禍の今だから分かる、「結論を急がず悩み続ける能力=ネガティブ・ケイパビリティ」の重要性。

悩みに悩み抜いた自分の過去を、やんわりと肯定してもらえた気がします。

現代と過去の物語が交錯して、何冊もの本を読んだかのような読後でした。


朝日新聞2020年4月12日の文芸欄に、帚木蓬生さんの記事があり、興味深く読みました。同社の本のサイト「好書好日」にも、インタビュー記事があります↓

https://book.asahi.com/article/11581829


読書ノート

久しぶりにA5バインダーノートまとめました。

※自分の解釈でまとめたノートです。内容や言い回しが違う箇所が多くあります。詳しくは本書をご覧ください。

ネガティブ・ケイパビリティとは

ネガティブ・ケイパビリティとは、ただちに答え(結果・解決法)が出ない状況を受け入れ、何とか持ちこたえていく能力のことです。

私なりに咀嚼して、自分の人生に活かせそうなことを箇条書き風に記録しておきます。

分かりたがる脳

ある現象への理解は、未消化のまま試行錯誤しているうちに、より高い次元へと推移します。

アイデアは寝かせておくとうまく成熟するのと、似ていますね。

ここでネックになるのが、脳は分からないものが目の前にあると不安を感じるという性質です。

だから人は、既存の枠にハメて安心したい。

でも、それだと低い次元での理解にとどまり、いわばマニュアル通りの思考停止状態になります。

何でもかんでも枠にハメて決めつける頭の固い人、いますよね。(私もそうなることが多いです。)

よく分からない宙ぶらりんの状態を耐えてこその、深く発展的な理解。

ここでの耐える力が、ネガティブ・ケイパビリティ。

楽観的な脳

ある現象への記憶は、時が経つにつれて辛い思い出は薄くなり、楽しい思い出のみが残る傾向にあります。

まさに、「思い出は美化される」のことです。

実はそれは、脳が希望を付加した意味づけができるからこその現象だそうです。

記憶は、未来によって絶えず再形成される。人間の脳ってすごいですね。

P106〜「楽観的希望の医学的効用」は、ああなるほど!と絡まった糸がほどけていくように腑に落ちました。

うつ病になると、脳のバイアスが正常に機能せず、思考に真っ暗なバイアスがかかります。

すると当然、すぐに決めつけて枠にハメたり、悪い方向に思い込んだりするようになります。

結果、苦しい状況にいつまでも囚われて、思考停止。

(私の産後うつ状態は、まさにこれだったのではないかと感じました。)

永遠にトンネルが続くとの「思い込み」から抜け出すためには、楽観的な未来のもとで、今を何とかしのぐ力が必要。

その「持ちこたえる力」が、ネガティブ・ケイパビリティ。

ゼロベース思考

ここまでの話をまとめると、つまり、性急な確実性を求めるのは、必ずしも最善策ではないことが分かります。

もちろん、過去の事例に当てはめて、早急に解決策を出さなければならない場面もあります。

ただ、いつもその方法をとっていると、変なバイアスがかかって大きな落とし穴にハマることもあるよと、精神科医のビオンが警鐘を鳴らしています。

時には、自分の「記憶」「理解」「欲望」を捨てて、ありのままを俯瞰する視点(ゼロベース思考)が必要なのです。

現代人に必要な「共感」

焦らずに、、、とは言っても、できるだけ早急な結論を求められるが現代社会。

そこには「共感」というキーワードが抜け落ちています。

私生活埋没主義という言葉が示す通り、自分さえ良ければOKな風潮。そして他者意識の欠落。

「この社会は、仕事を通した助け合いのネットワークでできている」と池上彰さんの本に書いてありましたが、共感力の欠如によっては揺らぎかねないなと思いました。

↓この本です。

話を戻します。

本書に書いてあった「共感の土台」を抜き出すと、「思いやり」「寛容」「正直」「謙虚」などが挙げられます。

宙ぶらりんの状態に耐えるためには、高い精神力も必要。

これらの徳目を身につけようとする姿勢も、ネガティブ・ケイパビリティ。


もしも、周りに宙ぶらりん状態で苦しんでいる人がいたら、次の2つの「薬」を、効果を信じて使ってみようと思います。

  • 日薬=時が解決してくれる
  • 目薬=見守っているという事実で辛さを耐えられる

ここでのポイントは、何を言うかではなく、誰に言われるかも重要だということ。

結局はマンパワーですね。

「最大の薬はその人の人格」

肝に命じておきます。

参考図書&リンク

↓今回の本です。

↓「共感」というキーワードで思い出した本です。人間関係のメンテナンスに役立つ考え方が書かれています。

↓実用書でただちに結果や答えを知るだけの読書では、薄っぺらい人間になりますよという、戒めが書いてある本です。

あとがき

「すぐには解決できなくても、なんとか持ちこたえていける。それは、実は能力のひとつなんだよ」

ネガティブ・ケイパビリティP201

この言葉に救われる人が、たくさんいるのではないでしょうか。

今のままで、大丈夫。
焦らなくても、大丈夫。
まだ答えられないなら、それでよし。

世の中、すぐに解決できない問題ばかりだから。

自分にも、子供達にも、折に触れて言い聞かせたい言葉です。

ネガティブ・ケイパビリティは、子育て中の人、介護中の人、事業が停滞している人、コロナ禍で苦しんでいる人、世の中全ての人の、真髄に触れる概念なのですね。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
今日も、良い1日を〜♪


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