【徹底解説】水性:油性?染料:顔料?知って得するインクの特性

ペンのスペックとして、必ず書かれているのがインクの種類。

「水性染料」や「油性顔料」などの表記は必ず見たことがあるのでは?

チェックはするものの、実際にどんな特性のインクなのか分かりにくいですよね。

水性油性はなんとなくわかるけれど、そもそも染料って?顔料とは??となっているのは私だけでしょうか……笑

そこで今回は、実際のペンを使って比較しながら特徴をチェックしてみます。

どんな場面で使えるのかも試してみたので、ペン選びの参考にしてみてくださいね。

水性インクと油性インクの違いとは?

よく目にするインクの種類かつ、比較的わかりやすいのが「水性インク」と「油性インク」。

なんとなく「水性ペンはノートに使う」「油性ペンはプラスチックや名前書きなどに使う」と使い分けていました。

具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。

水性インクは水がベース

水性インクは、インクをつくるベースに水を使っています。

そのためインクが軽く、サラッとした書き心地。

主に紙に書くのに適したインクです。

紙に書いた時には裏移りが少ないのも特徴。

書くときにニオイがしないので、屋内でも気軽に使えます。

その一方、水がベースになっているため、ツルツルとしたプラスチックや金属などにはインクがのりません。

また、書いた部分が濡れてしまうと、にじんでしまうという特徴もあります。

油性インクは油のような溶剤がベース

油性インクは、インクをつくるベースに「有機溶剤」を使っています。

一度インクが定着すると水がかかってもにじまず、長期間インクが劣化しにくいのが特徴です。

紙や布に書けるのはもちろん、プラスチックや金属などにも書けます。

インクが乾きやすく、すぐに定着するのも油性ペンの良いところ。

これはインクのベースの有機溶剤が、水よりも早く揮発するからです。

ただし、揮発する際に強いニオイが出ることがあります。

そのため屋内で使うときには、換気をする必要があるのでお気をつけくださいね。

また溶剤を使っているため、ペンで書いた部分の塗料を溶かしてしまうこともあるので注意が必要です。

染料と顔料の違いとは?

インクは、ベースとなる水や溶剤に、色の素を混ぜて作られます。

「染料」や「顔料」は、色の素の性質を表しているんです!

こちらも具体的な違いをチェックしていきましょう。

染料は溶けやすい!

「水性染料」「油性染料」などのインクに使われているのが「染料」です。

一番の特徴は、水や溶剤に溶けやすいこと!

紙や布を染めるのにも使われており、鮮やかで濃い発色が特徴です。

ペンのインクとして使うと、書いた紙にしっかりと色が染み込み鮮やかに発色。

複数の染料を混ぜてインクを作ることもできるので、さまざまな色のペンをつくることも可能です。

しっかりと溶け込んでいるおかげで、さらさらと軽い質感なのも特徴。

紙に染み込むのですぐに乾きやすいインクです。

また、蓋を取ってすぐに書きやすいのは、染料インクならでは!

顔料は溶けない!

もう一方の「顔料」は、水や溶剤に溶けない素材です。

水に溶けないのにインクになるの!?と思いますが、粒子が細かいのでインクになります。

水に溶けていないので、紙に書いたときに染み込まず、そのまま紙の上にのるというイメージです。

特徴的なのが、水に溶けないので耐水性が高いこと!

にじみにくく雨にも強いので、屋外に使われるペンキなどは顔料が多いです。

光で色褪せることも少ないため、長期間使われるものにはぴったりです。

ただし乾きにくかったり、溶媒に溶けているわけではないので、よく振ってからしか書けなかったりと、ちょっと癖があるものもあります。

それぞれの組み合わせによってメリット・デメリットが!

なんとなく、「水性or油性」「染料or顔料」の違いはわかったでしょうか?

ここからは「水性染料」「水性顔料」「油性染料」「油性顔料」、それぞれのインクに、どんな性質があり、どんなメリット・デメリットがあるのかチェックしてみます。

水性染料は書きやすく高発色

水性染料インクは、水をベースに染料で色をつけたインクのこと。

サラサラと書きやすく、鮮やかな発色、裏移りがしにくいメリットがあります。

代表的なペンとしては、ぺんてるの「サインペン」やトンボ鉛筆の「ABT」など!

さささっと書ける書き味の軽さや、色数の多さが特徴的ですよね。

書いてすぐと乾いてからの色の差が少なく、イメージ通りの発色なので、手帳に使ったりイラストを描くのに使ったり、使う場面は多いはず。

デメリットとしては、水性も染料も水でにじみやすいため、水濡れに弱いこと。

室内で書き、室内で保存するものにしか使えません……。

ただしこの特性を活かせば、水筆でにじませて水彩絵の具のようなタッチを作ることも!

ABTのような画材としても使われるペンなら、あえてにじませるのもありです!

誤ってインクがついてしまっても、水で薄くすることはできます。

↓ぺんてるのサインペンについて

↓トンボ鉛筆ABTについて

水性顔料はしっかり書けて水に強い

水性顔料インクは、水をベースに顔料で色をつけたインクのこと。

サラサラ書けることやにじみにくさ、インクが乾いた後は水濡れに強いメリットがあります。

代表的なペンとしては、三菱鉛筆の「プロッキー」「ポスカ」、ぺんてるの「ミルキーブラッシュ」など!

書きやすくインクが乾けば水でにじまないので、外で使うものにも使えます。

プロッキーは比較的乾きが早いですが、ポスカやミルキーブラッシュなどは顔料特有の乾きにくさがあります。

書いてすぐにページを閉じたいときには向かないでしょう。

水性染料と違い、乾くと耐水性があるため落ちにくくなります。

↓紙に書いて水筆で表面をなぞったところ。

ガラスやプラスチックに書いた場合は拭き取れば落ちる場合もあります。

また「サインペン」と「プロッキー」を比べると、同じ青の水性インクですが、サインペンのほうが高発色です。

場面に応じて使い分けるといいですよ◎

↓ミルキーブラッシュについて

油性染料は落としにくくて水に強い

油性染料インクは、有機溶剤をベースに染料で色をつけたインクのこと。

一般的に「油性ペン」と呼ばれるものは、油性染料のものが多いです。

色鮮やかな発色に加えて乾きが早く、プラスチックや金属などにも書けるのがメリットです。

代表的なペンといえば、やはりゼブラの「マッキー」!

蓋をとればさっとかけて、素材を問わずに書けるインクです。

乾けば水でにじむことがありません。

屋外で使うものや、ツルツルとした場所にも使えます。

油性染料は紙や布に書いた場合はしっかりと定着するので、ネームペンとしてよく使われます。

一方で、裏移りやにじみが出やすいインクです。

また経年による退色が出やすいことや、土台の素材を溶かしてしまうこともあります。

そして、間違って服などについてしまうと、落とすことが難しいです。

※金属やプラスチックに書いた場合は、エタノールなどで落とすことができる場合があります。

油性顔料は保存性が高い

油性顔料インクは、有機溶剤をベースに顔料で色をつけたインクのこと。

一般的な「油性ボールペン」と呼ばれるものも、油性顔料が多いです。

高耐水で色褪せしにくく、長期間の保存に適した素材です。

代表的なペンとしては、ぺんてるの「ペイントマーカー」!

耐水性が抜群です。

また、ペンのインクではないですが、シャチハタのネーム印やXstamperのインクも油性顔料。

今回紹介する4つの種類の中では、一番耐久性に優れたインクと言えます。

ボールペンや印鑑など、重要な書類に使われるのにも納得ですね。

肌や服についてしまうと取れにくいので、極力乾く前に洗い落とすか、つかないように細心の注意を払いましょう。

裏抜けは、、、やっぱりあります。

書く時は、かならず数枚チラシや雑紙を敷かないと、机が大変なことになります…!

今回は、下に敷いたチラシの印刷が溶け、インク部分についてしまいました。

※インクの性質によっては裏抜けが少ない場合もあります。

比べてみると?

「水性染料」「水性顔料」「油性染料」「油性顔料」それぞれを比べてみます。

まずはコピー用紙。

やはり書きやすいのは水性インクの2種。一方油性インクはにじんでしまいます。

裏面はこんな感じ。

油性インクの2種は、しっかり裏に抜けてしまっています。

よりにじみが出やすいクラフト紙に書いてみると、よりにじみや裏抜けが明白に。

水性でも、染料と顔料でにじみ方が違います。写真ではわかりにくいですが、染料の方がややにじみやすいです。

水性ペンはかろうじて裏抜けは見られませんでしたが、油性ペンの裏面は、やっぱりこんな感じに抜けてしまいます。

紙質によっては、水性染料も裏までにじむことがあるかもしれませんね。

試しにクリアファイルに書いてみると、こちらは油性ペンが強みを発揮。

水性染料はキレイに弾いてしまい、触れてしまうと伸びてしまいます。

水性顔料は乾くと色は定着するのですが、書く際に弾くような感覚があり書きにくさを感じました。

一方油性は、一度乾けば擦っても問題なし。

油性染料は爪で引っ掻くと多少インクが落ちましたが、油性顔料は爪だろうと水拭きだろうと無傷です。

ちなみに、ホワイトボードマーカーも油性顔料が多いですが、剥離剤が含まれているので乾くとホワイトボードから剥がしとる(消す)ことができる仕組みになっています。

特性を知れば活用法もわかる!

ペンの世界は奥深く、この4種類の他にも「ゲルインク」「エマルジョンインク」「フリクションインク」などなど…さまざまなインクがあります。

配合や粒子の大きさによっても、書き心地や特性が変わるのは面白いですよね。

今回は基本となるインクを紹介したので、この特性を知っておけばペン選びのサポートになるはず!

ぜひ使いたい場所や場面に合わせて、適したペンを選んでくださいね。


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